すみません、今年の更新遅くなりました。
インフルエンザで伏せっておりました。
今年一発目は毎年恒例の伝統工芸展からです。
2018.1.3 水曜日 日本伝統工芸展高松 香川県立ミュージアム、会期 1/2 火曜日から 1/21 日曜日まで、時間 九時から十七時 金曜のみ十九時半まで 閉館三十分前までに入場のこと、観覧料一般610円。
天気は晴れ、まずまずのお正月。
この年末年始は大みそかを除いて、天気には恵まれていた。
とても穏やかな年始である。
坂出でマリンライナーに乗り換える。
高松にはその方が早く着く。
八時五十分、高松着。
駅前に出ると玉藻公園が年始の無料開放となっている。
ので中を通って行くことに。
中は工事をしているところもあり、往時の高松城の姿を取り戻そうと官民一体となって取り組んでいるところ。
早く完成した姿にお目にかかりたいものだ。
九時過ぎ、県立ミュージアム到着。
早速展覧会を見てゆくことにしよう。
まずは漆芸。
今年は久々に香川県勢の活躍が目立つ年。
質、量ともに充実しており、漆芸王国復活ののろしといったところか。
柔らかい色合いで表現されたアカシヤの花の美しいこと。
いきなり心をわしづかみにされた。
文句なしの傑作だと思う。
色だけでなく描写全体が柔らかく、写真で言えばライカのタンバールか何かで撮ったようなそんな夢心地の作品。
その他、県勢の作品で言えば、大谷早人さんや北岡道代さん、磯井星児さん、中村芳弘さんらの作品が目を引いた。
他に目を引いた作品としては、奈良の北村昭斉さんの牡丹螺鈿合子を挙げたい。
黒地の中に牡丹の花が淡い光を浴びてしっとりと浮き上がってくる。
牡丹に当たる光の加減が絶妙で、得も言われぬ味わいがあった。
川のせせらぎをそのまま漆で表現しているのだが何とも言えない絵心が感じられる。
音楽で言えば「うた」があるとでも言うのか。
さすが新人賞になっただけのことはある。
とかく伝統工芸展のような職人的世界のコンクールとなればどうしても技術偏重となりがちだが、ここに挙げた作品はどれも、技術より先に改めて自然や人間を虚心に見る心、そしてそれを感じる絵心の大切さを教えてくれているように思うのであるがどうだろう。
「乾漆足付盆」、岩波信雄。
とにかく輪島の黒は凄い。
この作品も黒が基調となっていて、見ているとその黒の織り成す広大な闇にすっぽりと飲みこまれそうになる。
やはり輪島の黒は他の産地のそれとはレベルが違うようだ。
こちらも力作が並ぶ。
「灰釉盤」、小出芳弘。
なんとなく渋い緑色がくすんだ肌色の地に映える。
けっこう地味な作品ながらなんだか妙に心惹かれた作品。
「青白磁釉象嵌線彫文壺」、久保田烈工。
文様が美しい。
そして色彩もどぎついところがなく明るくて爽やか、で柔らかい。
これも一見すると普通っぽいのだが、なんとなく惹かれる作品。
「白器 ダイ/台」、和田的。
外面は四角で平面なのに内側はきれいな円形となっている作品。
きっと高い技術の裏打ちがあるのだろう。
白もきれいに色が出ていた。
続いて着物。
今年は例年になく秀作ぞろい。
レベルが高い。
「花織帯 思い出小箱」、楠 光代、千葉。
帯である。
地味な色合いながらなんとなく気品がある。
いわゆるやりすぎ感というのが微塵もない。
こういうの好きだなと改めて。
一方それとは対照的に派手な意匠で目を引くのが、「縫箔訪問着 天象華」、福田喜重 京都。
背景の天空を表す青のグラデーションが絶妙で、そこに散りばめられた星くずは刺繍だろうか。
とにかくパッと目を引いて心を持っていかれそうになる。
これはこれでいいものだなあ、と。
木竹工。
「柾割千集花文摺漆盛籃 花のゆめ」、勝城 蒼鳳、栃木。
いわゆる展覧会向きの作品というより実用に耐えそうな伝統的な竹細工。
複雑にでもしっかりと編まれた竹の美しさに思わず見とれてしまう。
力強くてね。
「杉片身砂磨盛器」、藤嵜 一正、大阪。
木工ならではの木目の美しさと引き締まった形態の美しさ。
やっぱりこういうのもいいもんですねえ。
こちらは黒く塗ってあるケヤキだそう。
木工というより陶芸のような形の鉢。
中の底の方にうっすらと木目が見えており、それがなんとも美しい。
「透網代花籠 清閑」、河野 祥篁、大分。
竹細工。
まるで中空に浮かび上がるかのような軽やかな編み方と形の美。
先の勝城 蒼鳳さんの実用竹細工とは正反対の道を行く軽みの美学がここにある。
「有線七宝水指 秋霜」、九鬼 英子、静岡県。
これも絵心が素晴らしい。
花の絵が描かれているのだが、まるで上質の絵画を見るような趣。
「積層切子器 淥流」、渡邊 明、京都。
やや青みがかった厚手のガラスが水の流れのように美しい一品。
ただ滑らかなだけでなく、シャープな面も覗かせる。
以上、駆け足で作品を見てきたましたが、なお、文中の作品と添えられている写真は必ずしも同一のものではないことに改めて注意してください。
著作権の都合上、取れる画像を取ってきて貼り付けてあるだけで。
当然、取れる画像は限られているわけで。
まあ、本来ならしっかりと紹介作品とリンクできていればいいんですけど、今の私の技術レベルでは限られた画像を生かすために、文章との齟齬は避けられないわけです。
というわけで、本文に添えられている写真はテキトーです。
なにとぞご容赦下さい。
安全運行に務めてくれたJRの皆さんに感謝。
最高の展覧会を見せてくれた伝統工芸展の作家さん並びに関係者の皆さんに感謝。
それを正月から展示してくれている県立ミュージアムに感謝。
無料開放の玉藻公園さんに感謝。
そして今日も最後まで読んでくれたあなたにありがとう。