本日はコンサート評です。
2017.11.11 土曜日、和太鼓コンサート「DRUM TAO」、多度津町民会館、全席指定前売り一般5400円、十八時開場、十八時半開演。
それではここで本日の主催 DRUM TAO について簡単な紹介を。
和太鼓で世界に通用するエンターテイメントショーを作るという夢をかかげ1993年結成。
2004年海外進出スタート。
ドイツ三ヶ月公演、台湾二年連続アリーナ公演、2010年北米ツアーでは全五十公演、SOLD OUT。
国内では年間二百五十本超の単独公演をこなす。
世界観客動員数七百万人突破。
また歌舞伎からJ-POPまで幅広いアーティストともコラボする。
今回の公演はブロードウェイデビューを経て公開された2016年の舞台「舞響~Bukyo~踊る太鼓」の進化版。
全国二十万人が歓喜したという作品「舞響~Bukyo~踊る太鼓 2」。
どんな舞台が見られるのかとても楽しみだ。
十八時過ぎ会場入り。
着くと入り口にはすでにすごい行列が。
中に入ると何やらスモークの余韻か、会場内がうっすらと曇っている。
席は前方真ん中の特等席。
全体がゆったりと見渡せ、かつ臨場感も損なわない程よい距離の場所。
ありがたいことです。
冒頭まるでCGのような効果を見せるプロジェクションマッピングによる斬新な演出が。
ステージ中程に薄い膜のようなものが引かれていて、そこに照明やプロジェクションマッピングの残像が反射してまるで舞台全体が宇宙の中に浮かび上がっているかのように見える。
幻想的な幕開けだ。
舞台奥には横笛の奏者が立っていて和の趣を存分に感じることができる。
一方、舞台中央では地太鼓を中心に和太鼓の饗宴が繰り広げられる。
それがまたかなりの高難度の技をやっていてちょっと感動モノなのである。
冒頭の一曲目がひとしきり演奏され、それが終わるとそこからすかさず次々と繰り出される華麗な演舞の数々。
三味線が出てきたり、琴の演奏でしっとり聞かせたりと変化に富んだ構成。
もちろん激しい曲もある。
衣装を手掛けているのはコシノジュンコさんだそうで、例えば長いバトンのような棒を持ってくるくる回転しながら踊る時には、ひらひらの付いた衣装が演者の回転に合わせてきれいに見えるようになっていたりして。
全体的によく考えられた衣装設定だったと思う。
このグルーブ、ただ単に太鼓だけで見せるのではなく、踊りやパフォーマンスを織り交ぜた華麗な演出で見せてくれる。
それは中身は違うが、まるでシルクドソレイユのような感じ。
そこに凝った照明が絡んでくるのだからたまらない。
その他にもホント色んなことをやってくれた前半だったが、最初の内こそその絢爛豪華な演出にばかり目が行くのだが、聞いている内に次第にそういうことはどうでもよくなってくる。
というのも基本となる和太鼓の演奏が非常にしっかりしていて余りにも素晴らしいからである。
女の人が大太鼓を叩く曲なんかも素晴らしかったなあ。
あと、大きな立方体状の鉄の棒だけで組み立てられたものを使った演舞も良かった。
それを手で上に差し上げてくるくる回すのである。
まるでサーカス芸。
また、演出にはユーモアの要素もふんだんに盛り込まれている。
照明を巧みに使って、オチ役の人にだけ照明が上手く当たらないとか。
思わず笑ってしまう。
天女の舞のような場面で上から満月が降りてくるのだが、てっきり月だとばかり思っていたらそれが次の演舞で使う大太鼓だったり。
奏者は全部で何人くらいいただろう。
十五から二十人といったところか。
十五分の休憩後、後半へ。
舞台で使われる太鼓は大小様々。
その太鼓、当然だが大きさによって全て音色が違う。
大きい太鼓ほど音が低くなる。
後、同じ太鼓でも叩く場所によっても音が違ってくる。
奏者はそれら音色の違いを微妙に叩き分けながら、一つの音楽、響きの饗宴を造り出して行く。
まあそんな技術的な細かい事をさておき、後半は皆身体が温まっているのだろう、初手から全開の演奏である。
ビシッと音が揃った急速調の部分など絶品だ。
ソロの大太鼓のド迫力、日本刀を使った黒と白のせめぎ合いを描いた独自の表現など見所は尽きない。
目の前の事象にただ夢中になるだけの至福の時間が過ぎていく。
気付くと心の内側から出てくるはずの言葉はカラッポ。
スゴイとサイコーの二つしか出てこない。
本当に凄い物に出会うと脳の波動は言葉を超えてしまうのだろう。
でもこの激しくも華麗な音、これは時分の花を咲かせているであろう若い人にしか出せない音だと思った。
中年の筆者が失くしてしまった物がすべてここにはある。
あはは。
全速力で駆け抜けた二時間。
今日は本当に来てよかった。
大満足。
あと、会場で渡されたパンフレットを読んで知ったのだが、筆者がこの夏行った九州旅行でたまたま立ち寄ったラーメン屋さん、博多一風堂はどうやらこの団体が経営している店だったようだ。
そういえば店内にドラムタオの写真がたくさん飾ってあったな、と。
これも不思議なご縁である。
感謝、感謝。
最高の音楽を聞かせてくれたDRUM TAOの皆さんに感謝。
その音楽を滞りなく届けたくれた多度津町民会館の皆さんに感謝。
その他、全てのこのコンサートに関わってくれた皆さんに感謝。
そして今日も最後まで読んでくれたあなたにありがとう。