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Channel: 文芸 多度津 弘濱書院
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武産合気風の集い

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本日は合気道高知演武会参加の報告を。

2017.7.16、日曜日、「武産合気風の集い」、演武会、合同稽古、師範講習会の三部立て構成、九時半から十五時まで、高知県立武道館。

筆者が今通っている合気道の道場(香川丸亀)は高知県の合気道団体と縁が深い。
第一、師範が高知の方だ。
それに香川の現道場長は、若い頃、高知で合気道に出会い修行されたようだし。
だから香川で演武会や師範稽古をする時などは、いつも高知から応援に来てくれる。
今回はそれとは逆に、こっちから高知主催のイベントに応援に行くわけである。

ちなみに演武会とは、どういうものか簡単に説明すると。
戦後、それまで秘密のベールに包まれていた閉鎖的なサークルだった合気道の世界を広く世間一般に知らしめるべく、合気道二代目道主の吉祥丸先生が創始されたものと聞く。
見学は無料で誰でも見ることができる。

この演武会、通常は主催する会に所属するメンバーが順番に技を披露してゆく。
最初は級の浅い初心者から始まって次第に上手い人、高段者が出てくるようになっている。
特徴は、下手な人も上手い人に交じって分け隔てなく演武するというところにある。
これは始めた当時としてはかなり画期的なことだったよう。
というのも、それまで演武とは通常、かなりの上級者にしか許されなかった行為だからである。

まさに誰もが主人公となれる戦後民主主義の時代にふさわしい仕掛けだったと言えよう。
この演武会、最初は合気道本部のある東京でのみ開催されていたそうだが、世間的にはかなりの評判を獲得したようで、瞬く間に全国へと広まったという。

イメージ 1いつも通っている丸亀道場の先生の車に乗っていざ高知へ。
武道館は高知城のすぐ横。
というよりほとんど城内といった感じ。

九時半演武開始。
その前に受付があって予定表が配られるのだが、それを見てびっくり。
なんと、午前の部の最後が、わがさぬき合気道教室なのだ。
ガーン。
落語で言うところの「中トリ」。
しかも今日、香川から来ているのは先生と私の二人だけ。
俄然、注目を浴びてしまうではないか。
責任重大。
まずいなあ。

イメージ 2
しかもそれに拍車をかけるように、最初に演武に出てくる高知大学医学部合気道部の演武がやたらと上手い。
見たことのないような複雑な技を次々と披露して。
おいおい。
困るんだよな、そういうの。
思わず冷や汗。

でも緊張するということは、どういうことかというと、普段の自分の実力以上のものを見せねばと気負いこんでいる証拠。
普段の稽古通り、それ以上でも以下でもない、ありのままの姿をさらけ出して、それで恥をかくなら仕方ないと割り切れているのなら緊張はしない。

イメージ 3だが悲しいかな小人非君子の私。
やっぱり実力以上によく見られたい。
願わくば、あの人上手いなんて言われたい。
そのような邪な心から自由になれない。
でもね、これだ、これなんですよ、本当の敵というのは。
それは自分の心の中にあるもの。

とぐだぐだ考えていたら出番になった。
本番では色んな技をやったけど、表と裏(合気道にはそれぞれの技に表技と裏の技とがある)が時々ごっちゃになってしまった。
イメージ 4でも、技の流れには乗れていたように思う。
足らない部分は勢いでカバーした感じ。
表と裏がごっちゃになったミスはアドリブの妙味ということで大目に見てもらいたいのだが。
でもなんだか、怒られそうだけど。

その後、合同稽古。
四国四県から集まってきた気鋭の指導者先生方が回り持ちで技を示す。
中には見たことのないようなスゴ技を示す先生も。
早速、持ち帰ってじっくり練習してみたい気にさせてくれる。

イメージ 5余談だが、ここ、高知県立武道館はなんとエアコンが効いている。
最初、夏の一番暑い時期での開催と聞いて、大汗をかくだろうなとタオルを多めに用意し、大きな水筒に麦茶をたっぷりと入れて持ってきたのだが杞憂だった。
なんとも拍子抜けするくらい中は涼しい。
ただ、会場のエアコン代は相当高いらしく、一時間2000円くらいするとか。
ひえーっ。

イメージ 6合同稽古は充実の内容で無事終了。
一時間の昼休憩の後、午後の部へ。

十三時、午後の部開始。
午後の演武は有段者中心。
上手い人が続々と出てくる。
普段、見られない高段者同士の仕掛け合い、真剣勝負はまさにみもの。
正直、今の筆者のレベルからすると参考にはならないくらい程度の高い技が見られているのだが、やはり、とはいうものの勉強になることぱかり。
そして、いつかは自分もああなりたいと目標にもなるわけだし。

イメージ 7飽くことなく、じっと眺めていたら、いつの間にか午後の演武は終了していた。
ああ、もっと見ていたい。

最後は師範稽古。
高知の正岡師範。
師範は技も凄いが、合間合間で話されるちょっとした話がとても面白い。
ちょっと形而上学的な匂いのする独特の比喩を用いて合気道の真の心を伝えてくれる。

イメージ 8ところで、形而上学的な言葉には、真実をよりよく知らせる一面と逆に真実を巧みに覆い隠す一面とが同居していると思うのだが。
師範の話においても、そこら辺りのさじ加減がやはり絶妙の均衡を醸し出していて、だから聞く者はもっともっとと師範の話が聞きたくなってくるのである。

師範はいつもこう仰られる。
合気道の道は、最初は合気術から始まって、次は合気道、そして最後は武産合気の道へと至るのだと。
合気術とは、力や技で相手を倒そうとする段階。
合気道とは、力を脱して、技と理を極める段階、が、まだ型の中には居る。
イメージ 9そして武産合気とは、型すら脱して、相手と生で向き合い、その中で技が自由自在に産まれてくるという段階。
最終的にはそこまで行かなければならないと師範は説く。

いやあ、早く私もそういう境地にたどり着けるようになりたいものです。
さらに、師範の話は進んで、最後は密教、神道の奥義というべき部分、信仰の核心を説き明かすような高度な話へと進んで行く。
いやもう最高です。
いよっ、名調子。

イメージ 10十五時、予定通り全ての行事が終了。
これだけの技と理論が深く学べて、今日は本当に来てよかったです。
ありがとう。
大満足の一日でした。


最高の舞台と機会を用意してくれた高知県合気道の皆さんに感謝。
涼しい夏のひとときを演出してくれた高知県立武道館、並びに関係者の皆さんに感謝。
四国各県から集まってくれていた合気道関係者並びに指導者の皆さんに感謝。
車で高知まで連れて行ってくれた、いつも指導していただいている丸亀の先生に感謝。
最高の教えを垂れてくれた師範に感謝。
今日も最後まで読んでくれたあなたにありがとう。

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