本日は紀行です。
今回と次回の二回に渡って連載します。
まず一日目、4.28から。
朝、丸亀発の七時九分の特急に乗ることから旅は始まる。
うれしくて、必要もないのに朝五時に起きてしまった。
あはは。
天気は晴れ。
気温は昼間は暑いみたいだが、朝夕は少し涼しい模様。
上着を持っていくかどうか悩ましいところだが、折り畳みのできる薄手の春用の上着を着ていくことに。
毎度ながらJR四国の特急の乗り心地は最高だ。
不快な横揺れがほとんどなく滑らか。
岡山からは新幹線。
のぞみ。
N700系の車両。
前後の広いゆったりとした少し固めのシートが心地よい。
その時、車内販売のメニューをもらったのだが、色々な品物が揃えられていることにびっくり。
お土産物に、なんと曲げわっぱの弁当箱なんてのが。
他には和紙で作った絵葉書とか。
漆塗りの手鏡なんてのもある。
食べ物でも変わったところでは味噌汁というのも。
酒ならあの銘酒、獺祭のセットがあるし。
そうこうする内に新大阪に到着。
そこから大阪駅まで出て、そこでコインロッカーに荷物を預ける。
大阪駅から新快速に乗って今日の目的地、京都まで。
ちょうど三十分。
京都、京都、京都。
久しぶりだなあ、春の京都。
降り立った京都駅はじっくり見ることは叶わなかったが、シックでそれなのに開放感があり、独特の雰囲気がある。
いい駅です。
京都駅から地下鉄で四条まで出た後、阪急電車に乗って松尾大社駅まで。
本日最初の目的地は、西京の名刹、鈴虫寺。
松尾大社駅に着いてから、鈴虫寺方面に向かって歩いていると、ちょうどバス停があり、なんとそこに計ったようにバスがすーっと到着した。
流れに乗ってそのままバスに乗る。
バスに乗ってみて分かったのだが、歩くとかなり距離がある模様だった。
これも神様仏様のご加護だったのだろうか。
感謝、感謝。
なんだか、源氏物語の宇治十帖に出てきそうな鄙びた雰囲気の場所。
いいじゃないですか。
ただ鄙びといっても、そこは京都。
庭の造りなどはとても洗練されている。
拝観料は500円でお茶とお菓子が付いている。
参道を少し歩いて、入り口に着くと中に入るのをしばらく待たされる。
一体、どうなっているのかと思っていたら、なんと中でお説教があるらしい。
入り口で待たされたのは、前の回の説教がまだ終わってなかったということのよう。
たっぷりと四十分から四十五分くらいだろうか、話してくれる。
ユーモアを交えながら徐々に教えの核心へと入っていくのだが、そこら辺りの話の運びはさすがで、スムーズで耳に心地よく、しかし教えの核心の部分では耳にちゃんと引っかかる。
詳しくは実際にここへ来てご自分の耳で聞いてもらうのが一番だと思うのだが、少しだけ内容を紹介すると、四つの恩と書いて四恩と読むのだが、父母の恩、社会への恩、国土への恩、仏法僧への恩と言った話や、和顔愛語、つまりいつもにこにこ穏やかにそして和らいだ言葉を以て人に接することなどが。
これで五百円は安いなあ。
寺は臨済宗のお寺で、元は華厳宗だったとか。
お寺の本堂の中では一年を通して、鈴虫が大事に飼われている。
その数、二千と言ったか、三千と言ったか。
最後はお地蔵様の前で願い事を一つ。
このお地蔵様がこの寺の名物らしく、その前でお祈りすると願い事を一つだけ叶えてくれるという。
ここのお地蔵様は全国でも珍しく草鞋を履いていらして、住所と名前を言うと歩いてそこまできてくれるそう。
で、願いを叶えてくれると。
筆者も恭しくお願いしてきました。
四条烏丸まで230円。
そこから錦市場まで歩いて、昼食。
しかしどこに入るかで家族四人、好みがバラバラで迷いに迷う。
まあ、旅行前からちゃんと下調べして、入るところを決めておけばよかったんですけどね。
結局入ったのは、酒蔵屋というところ。
市場の中の二階にある。
豚の角煮定食、880円を注文。
昼時と言うのにお客さんがほとんど入ってなかったので、何の期待もしていなかったのだが、意外に穴場だと言うのが徐々に明らかになってくる。
そこになんと、五種類ほどの惣菜が食べ放題となっている。
このおかずの食べ放題は品物がなくなったらそれで終わりなのだそうだが。
でも、この日はほとんど客が入ってなかったらしいので、ホントに満腹になるまでたっぷりと昼食を堪能できた。
料理の味も悪くないし、なんで客がこんなに入ってなかったのか不思議に思った。
皆さん、どうか入ってあげてください。
損はないです、はい。
以前訪れた時は、通の専門家が通う硬派な食材市場という感じで、どっちかというと実用一辺倒で余分な愛想のない感じだったのだが、最近は少し様変わりしていて、気楽に食べ歩きの出来る面白い商店街と言う感じになっている。
外国人の訪問客も多い。
それでも置いてある品物の品質の高さはさすがだが。
その後は錦市場から出て京都の街歩き。
四条河原町のあの独特のざわざわ感。
好きなんだよなあ、あの感触。
ちょうど地下で、京の酒の販売を行っていた。
試飲もさせてくれたので、一通り飲んでみると、値段の高い酒がやっぱり美味い。
そういえば、開高健が昔随筆で、良い酒はどんどん味が水の味に近づいて行くと書いていたが、今回飲んだ酒もそんな感じ。
値段の安い酒ほど、いわゆる「酒」という味がするが、値段が上がるにつれ、水のような滑らかさと清らかさが際立つように。
迷ったのだが、思い切って高い酒を買ってみた。
パンケーキとフレンチトーストをそれぞれ一つずつ注文して四人で分け合う。
疲れた体に甘い物が浸みこんで行く。
珈琲もさすが名店、本格的な味で、苦みとコクが効いている。
酸味もほどよく回っていて。
その後、三条を歩いて地下鉄の駅まで行って京都駅に帰る。
そこから大阪へと。
駅の並びにある阪神デパートの十階のレストラン街に。
創作料理「わくわくぱれ」。
ロースかつ定食を注文。
そして忘れちゃならない生中も。
ここも当たりだったなあ。
今日はなんかツイてるぞ。
それにしても引きの強い家族だな。
これも神様、仏様のおかげかな。
鈴虫寺の功徳が早速顕れたようです。
美味しい夕食をありがとう。
二連泊します。
大阪駅からタクシーで840円。
宿泊代はツインの部屋で二日泊まって、一人9500円。
安いっ。
まあ、さすがに部屋は狭いのだが、サービスはいい。
フロントの人などもとても愛想がいいのだ。
それに何より部屋がきれい。
NHKファンとしては少々フクザツな思い。
とそんなことを考えていると、部屋に東横インの女社長さんの書いた本が置いてあるので読んでみた。
それを読むと、このホテルがとてもしっかりとした経営哲学を以て運営されているホテルだということが分かってきた。
一円でも多く儲けようというのが、普通のホテルの発想だそうだが、東横はそうではなく、一人でも多くの人に泊まってもらいたいという発想で経営をしているという。
立派。
看板に偽りなし。
まさにその通りのホテルなのである。
その志の高さに思わずファンになってしまった私。
今夜はいい夢見られそう。
第一回目はここまでです。
続きをお楽しみに。
安全運行に務めてくれたJRの皆さん、地下鉄の皆さん、阪急の皆さん、京都バスの皆さん、タクシーの運転手さん、どうもありがとうございました。
最高のひとときを演出してくれた鈴虫寺の皆さんありがとうございました。
優雅な昼の京都を満喫させてくれた酒蔵屋さん、錦市場さんありがとうございました。
河原町、高島屋の皆さん、すてきな思い出とお酒、ありがとうございました。
三条のスマートコーヒーさん、三時の昼下がり、ありがとうございました。
わくわくぱれさん、至高の夕食と生ビール、ありがとうございました。
そして、東横さん、ホントにありがとう。
その他、今回の旅に関わってくれた皆さんに重ねてありがとう。
今日も最後まで読んでくれたあなたに感謝。