本日は展覧会の模様を。
2016.5.14、土曜日、「ピカソ展」、香川県立ミュージアム、一般1200円、前売り1000円、会期、三月十九日、土曜日から五月二十二日、日曜日まで、時間、九時から十七時まで。
瀬戸内国際芸術祭2016連携事業。
なお、この展覧会はドイツのルートヴィヒコレクションから多くの作品が出品されている。
そのルートヴィヒコレクションとは。
ドイツのケルンにあるルートヴィヒ美術館。
その珠玉の現代美術コレクションの内、ピカソの初期から晩年に至る約800点の作品群は、個人が集めたピカソコレクションで世界一の規模を誇る。
まずは電車で高松へ。
八時五十七分発の快速サンポート号。
天気は晴れ、今日も暑くなりそうだ。
朝、早い時間からの動きだし。
一息入れるため缶コーヒーを、電車の中で飲む。
ダイドーの旨みブレンドというのを買ってみた。
これがけっこう美味。
コクが深いのである。
なるほど、最近の缶コーヒーは侮れない。
余談だが、駅では危うく電車を乗り過ごすところだった。
と言うのも、電車は一番線ホームからの発車なのだが、筆者の勘違いでずっと二番線で待っていたのである。
発車一分前の駅のアナウンスで初めてその間違いに気づき、なんとかぎりぎりで乗り込むことができた。
危ない、危ない。
九時三十六分、高松着。
県立ミュージアムは駅から歩いて十五分ほど。
十時前にミュージアムに着いた。
パブロ・ピカソ、1881-1973。
この展覧会、筆者はかなり早い時期から前売り券を買っていた。
見に来たのは終わりかけになってからだが。
なお最初にお断りしておかねばならないが、この展覧会は先週ですでに終わっているので、このブログを読んでから出かけようとしている人には大変申し訳ないが、今からじゃもう見れません。
あしからず。
作品は、おおよそ年代順に配置されているよう。
初期の作品で一際目に付くのはそのデッサンの上手さである。
後の個性的な大芸儒家ピカソはまずもって絵画の天分に大いに恵まれた絵の天才だったことが分かる。
その絵の上手さは、後の作品においてしばしば顔を出すこともあれば、逆にその上手さが微塵も感じられないようなモダンの凄みを感じさせるような作品もある。
一般にピカソの魅力とは、その初期の上手い絵から始まって年を追って行く毎に伝統的な絵の規範から外れて、どんどん壊れて行くような様が何とも言えず面白い訳である。
さて、ピカソはその生涯で様々な芸術や芸術家達から影響を受けたと思われるが、今日はその中でもピカソの一つ前の世代になる画家セザンヌのことを少し書いてみたいと思う。
セザンヌと言う人はピカソと違って、それほど絵画の天分に恵まれた人ではなかったと言われる。
デッサンを見れば分かるのだが、線が硬いのである。
しかし、セザンヌの凄さはそこで諦めなかったところにある。
具体的には、後のキュビズムに影響を与えたと言われる、対象を一度幾何学的に分解してそれを再構築するような絵がそれである。
これだと、絵が下手でも、いやむしろ下手くそな硬い線の方が、反って個性が生きてくるのである。
それがピカソの目に留まる。
おそらくそれまで、絵を上手く描くことだけに没頭していたであろうピカソは、全く違う発想で描かれたセザンヌの絵を見て慄然とするのである。
こんなやり方があったのかと。
そしてそれまでの上手いだけの絵を捨てるのである。
ここにおそらく美術史上始まって以来の珍事である、絵の上手い人が下手な方を見てそれを真似するという事態が起こる訳である。
しかしそこら辺りの事情にこそ、まさに現代美術の秘密が隠されていると思うのだが、どうだろう。
先ほど、ピカソの絵は晩年になるほど壊れて行くと書いたが、実際の作品を見ていると、その作品の壊れ方もなんとなく洗練されているのが面白い。
そういうところにピカソの個性があるのだろう。
やっぱりなんだかんだ言って絵の上手い人なのである。
そのピカソを撮った写真家達も凄くて錚々たるメンバーである。
ざっと挙げてみると、マン・レイ、ロベール・ドアノー、アンドレ・ヴィレール、アーヴィング・ペン、ロベルト・オテロなどなど。
その写真家達のオリジナルプリントが惜しげもなく公開されていてこれが結構な見ものである。
あと面白かったのが、ピカソが作った陶器の作品群である。
天性の絵の上手さがよく現れていながらも、ピカソ特有のデフォルメがいたるところに施されていて圧巻である。
その中でも筆者が特に目を奪われたのが、「優美な縁飾り付きの楕円皿、闘牛」。
これは皿の縁取りに闘牛場の観客席が丸く描かれていて、そして皿全体が闘牛場の絵になっている秀逸なもの。
皿の中では今まさに闘牛がなされているシーンが描かれていて面白い。
いつまでも見ていたくなる傑作。
また別の個所では、銅版画の原本なども展示されている。
それらを間近で見ると、ピカソってホントに絵が上手かったんだなと改めて感じさせられる。
さらに油彩では、独特の壊れ方をする人体や対象にピカソの凄みを感じることができる。
全体にピカソの天才性が色濃く感ぜられた展覧会であった。
これも楽しみの一つ。
展覧会とリンクした特別メニューが用意されている。
今日はその中から、明太子クリームパスタを。
まだ昼前だが、席はいっぱいだ。
さて運ばれてきたクリームパスタ。
まいうーはまいうーなんだけど、何かもう一つパンチが足りない。
思うに、明太子クリームパスタという名称から予想される濃厚な味がないのである。
一言で言えば、味が薄い。
なんだかはっきりしないぼんやりとした味。
ここのレストランでは何回か食事したことがあるが、いつも平均点以上の手堅い味を醸し出すイメージがあったので、今回のはちと残念。
まあ、たまにはこんなこともあるのだろう。
今日はもう終わってしまったけど、明日があるさ。
めげずに頑張ってほしい。
次、また行くからな。
その時は頼むよ。
安全運行に務めてくれたJR関係者の皆さんにありがとう。
最高の展覧会を見せてくれた県立ミュージアム並びに関係者の皆さんにありがとう。
美味しい食事を提供してくれたミュージアムレストランの皆さんにありがとう。
今日も最後まで読んでくれたあなたにありがとう。