本日は、先週に引き続き二泊三日の関東旅行の紀行文です。
少し早く目が覚めたので館内や庭を散歩。
ひんやりとした朝の空気が心地よい。
庭もけっこう広くて歩きがいがある。
緑が豊富な美しい庭。
その後、七時半から朝食。
昨夜と同じダイニングで。
典型的な洋の朝食が味わえる。
たまご料理、三種の中から選べる、とハム・ソーセージ、これも三種の中から選べる、が一皿に乗って出てくる。
そこにパンとジュースとコーヒー紅茶が付いている。
筆者が頼んだのはスクランブルエッグと辛口ソーセージの盛り合わせ。
美味しかったなあ。
そして何より特筆すべきはコーヒーの味。
コクと苦みのバランスの取れた実にいい味だ。
また父親にベーコンを少し分けてもらって食べたけれど、これも絶品だった。
ちゃんと一つ一つの料理や飲み物を給仕してくれる昔ながらのスタイル。
実にいいもんです。
皆さんも一度是非。
そのあとはホテルをチェックアウトして、この旅の最大の目的地である日光東照宮へ。
なお、荷物はホテルのクロークで預かってもらえた。
もちろん無料。
宿泊客だけの特典だ。
そこから参道に入って二十分ほど歩くと東照宮。
まずはその前に輪王寺が見えてきて、さらにそこから歩を進めると東照宮の大きな参道へと出る。
中に入るには拝観料がいる。
まあ、しかしすごいところだな。
社寺建築の装飾の凄さもさることながら、参道の大きさや周囲に植えられた杉の木の大きさも半端ない。
ちなみに今年は家康公御鎮座四百年の記念の年らしい。
しかし、見所はそれだけではないのが東照宮のすごいところ。
とにかく、至るところにある過剰な装飾が目を引く。
仏教で言えば密教系。
不動明王系統の悪趣味すれすれの過剰さ、過激さに驚かされる。
神君家康公は、江戸の真北にあるここ日光の地で、死んで北極星となられたのであろうか。
そして次の世代を象徴する方角である「東」を照らす日の光となって今もなお生きて働いておられるに違いない。
石段二百段のその先にある建物は、日光の他の建物とは全く違う黒一色の大変に地味なもの。
とかく、鬼面人を驚かすはったりに満ちたこの究極の建築美を誇る日光の社寺建築の中において、嘘かと思うくらいに地味なこの建物が意味するものは、そのような表面だけのこけおどし、これでもかという力技の裏にある、純粋に後進のことを思う家康公のピュアな願いそのものなのかもしれないと思った。
また、奥ノ院、本殿と中に入ると、説明役の神官の方がいて、ある程度人が集まると社寺の説明やお祓い、五分程度の、をしてくれていたのも良かった。
何もないとただ漫然と通り過ぎてしまいがちな参拝の中で、足を止めてじっくりと向き合うポイントのようなものが上手く作られていて、これはいいやり方だなと思った。
また、境内はどこも新緑がきれいだった。
東照宮を後にして、駅前に戻り、列車を待つ間に早めの昼食をとる。
少し暑かったので、冷やしたぬきそばを注文。
出てきたおそばはよく冷えていた。
そこに関東風の濃い出汁の味が効いていて。
美味かったなあ。
ついでに注文した生湯葉も美味だった。
日光の味である。
午後の空いた時間を使って東京見物。
今回は代官山へ行った。
まあしかし、シャレオツな街だなあ。
表通りもさることながら、一本奥に入った路地裏までおしゃれ。
二十代から四十代くらいの大人向けの街というイメージ。
もっと上の世代にふさわしいような重厚感というのはないが、原宿や渋谷に比べるともっとずっと落ち着いたたたずまいが感ぜられる。
歩道に置いてある自転車もどれもおしゃれで高そうなものばかり。
カメラのキタムラも代官山に出店していたが、ライカの新作モデルなんかをきれいにディスプレイしてあって、とてもカメキタとは思えない洒落た店構えとなっていた。
夜になるまで、代官山で遊んで、今宵の宿である浅草に戻る。
宿に寄る前に夕食。
色々メニューはあるのだが、天丼「ロ」、1900円を注文。
穴子、イカ、海老、野菜の四種の天麩羅が乗っているらしい。
ついでに瓶ビールも注文。
いやもう最高ですね。
そしてお料理が運ばれてくる。
うわっ、穴子デカッ。
おそるおそる一口食べてみると。
たれはそれほど濃くなく、衣はしっとりさくさくと。
いい感じじゃないですか。
正直、割烹や料亭レベルの天麩羅の味とまでは行かないかもしれないが、どう見ても水準以上の味は醸し出していた。
東京浅草の夜の思いでにぴったりの店である。
皆さんもよろしかったら是非一度。
最高の夕食でした。
食後は今宵の宿へ。
天麩羅店からすぐのところにある、「レッドプラネット浅草」。
ここの売りは値段の安さだろう。
だから、部屋はちょっと狭め。
でも造りが新しいので嫌な感じはない。
風呂はシャワーのみで湯船がないのが残念なところ。
ただパジャマは、ちゃんと上下が分離したシャツとズボンの着心地のいいパジャマでこれは気に入った。
ホテルによっては、たまに上着だけで丈の長い、下のズボンが付いてないパジャマがあるが、あれはなんとなく苦手なので助かった。
ぐっすり寝て、明けて三日目、最終日は埼玉の川越を訪れる予定。
地下鉄で上野まで出て、山手線に乗り換えて池袋。
そこから東武東上線に再び乗り換えて川越へ。
心配された天気は早朝だけが雨で、出かける頃にはほぼ止んでいた。
有難い限りである。
ただ夜中にはだいぶ降ったみたいだ。
お天気の神様ありがとう。
筆者も思わずジャケットを脱いで半袖に。
東武東上線に乗って車窓を眺めていると、東京から離れて行くにつれて緑が多くなっていく。
ビルも次第に少なくなって、建物と建物の間にも余裕が出てくる。
それを見るともなしに眺めていると、なんとなく人が住むにはこれくらいの感じが調度いいのではないかと思えてきた。
ヒューマンスケールというか、人間にちょうどいい緑と人工のバランス、空間のゆとりとそれに反比例する文化の習熟度とのバランス。
地方や地方都市にはそういう良さがあると思う。
駅から歩いて二、三十分ほどで川越自慢の「蔵の街」に着く。
昔の建物がそのまま保存されていて、その重厚感に目を奪われる。
人出も多くて、街はすでにお祭り騒ぎだ。
さすがに首都圏だけあって人の数が凄い。
また街の至るところから祭囃子の生演奏が聞こえてくる。
ちょうどお昼時になったので昼食をとることに。
あじの南蛮定食。
あじも美味だったのだが、付け合せの玉ねぎが最高だった。
味噌汁と名物のさつまいもも美味しく、いい昼食に。
街中にはいたるところに屋台などが出店されており、暑い日なのでビールなどがよく売れている。
中には日本酒もある。
おっ、いいねえ、話が分かるねえと一杯ひっかけたいところだが、生憎今日は休肝日。
とほほ。
途中でお土産なんかを買ったりしながら。
そうやって半日を潰したら、帰りは西武本川越駅というのが、行きに乗ってきた東武の駅より蔵の街の近くにあったので、西武に乗って帰ることにした。
ちょうど新宿に寄る予定だったこともあり。
が、乗ってみて分かったのだが、東武だと池袋から川越まで三十分あまりで来たのだが、西武だと川越から新宿まで丸一時間かかった。
急いでいる人は要注意だ。
羽田で慌てて夕食をかきこんだら、飛行機の出発時間。
この旅ももういよいよ終わりである。
天気に恵まれ、人に恵まれ、美味しい食事に恵まれ。
全てに恵まれた満足度の高い三日間だった。
また機会があればもう一度。
そんな旅でした。
最高のおもてなしをしてくれた金谷ホテルの皆さんに感謝。
安全運行をしてくれた地下鉄及び鉄道関係者の皆さんに感謝。
おいしい食事を提供してくれた、食堂関係の皆さんに感謝。
浅草の宿に感謝。
日光東照宮に感謝。
川越にありがとう。
安全運行に務めてくれた全日空及び羽田の皆さんに感謝。
今日も最後まで読んでくれたあなたにありがとう。