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Channel: 文芸 多度津 弘濱書院
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落語&ランチ

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本日は落語鑑賞記です。

2019.1.26 土曜日。
さて、雪の心配も出ていたこの日、高松まで落語を聞きに行く。
今回の移動は車。
高松の商店街に用があったので、昼食はそこで。

イメージ 1丸亀町グリーンにある、「直島アートダイニングカネミツ」が今回のお店。
ここは入り口のレジでメインの料理を一品選んで、後はサラダと味噌汁、ご飯にデザートは食べ放題となっている。
料金は先払い。
値段も手頃で、今回はスペシャルランチ1070円を選択。
もちろん食べ放題込みの値段である。

メインの料理が出てくるまで野菜をつまみながら待つ。
十分ほどしてメインの料理が運ばれてくる。
イメージ 2
からあげとハンバーグと海老フライが皿の上にのっている。
男の子の好きなものが三つ。
あと、ここに現金と女がのっていれば完璧か。

出色は海老フライでキメの細やかなパン粉に、衣からにじみ出てくる油の質がとてもいい。
さらさらしていて、実に品がある。
その油とタルタルソースの濃厚な脂とが絡まって得も言われぬ美味が口の中に広がる。
久々にホントに旨いのを食ったな。

イメージ 3食べ放題の野菜は和洋のメニューが並んでいてどれも美味しく、ついつい食べ過ぎてしまう。
しかし、今時千円でこれだけ食べれるところはないように思う。
入って良かったな。
大満足の昼食でした。

そして落語会。
「春風亭一之輔独演会」、2019.1.26 土曜日、サンポートホール高松四階第一小ホール、全席指定前売り一般3500円、十三時半開場、十四時開演。

イメージ 4

それではここで、一之輔さんについて短く紹介。
いま最もチケット入手が困難な一人と言われる。
2012年二十一人抜きで真打ち昇進。
その際、人間国宝柳屋小三治さんが「久々の本物」と称賛したそう。
年間900席もの高座に立ち、その数は落語会一とも。

イメージ 5
本日は満席。
チケットは完売で当日券の発売はなかったらしい。
嫌が応にも期待が高まる。

一時半過ぎ会場に入る。
席はホントのど真ん中。
いい席だ。
ありがたい。
皆さんに感謝。

イメージ 6定刻通り十四時開演。
場内に寄席囃子が響いてくる。
粋なもんです。

最初は前座から。
一之輔さんのお弟子さんだそう。
野良犬が人間に生まれ変わる噺。
にわか仕立てで人間に化けたために、どうしても抜けきらない犬の癖や仕草が随所に出てきてそれで笑いを取っていく噺。
だいぶ長い間喋らせてもらっていたようで。
二十分くらいか、一之輔さんのお弟子さんへの期待のほどが分かる。

イメージ 7その後、一之輔さん登場。
一話目は桃太郎の噺だが、まくらを長くとって会場を徐々に温めてゆく。
出だしからスコーンと全開というわけではなく、様子を見ながらオフビートな笑いを炸裂させて行く。
独特のセンスと間が光る。
なるほど、やっぱり上手いなあ。

正確に時間をみていた訳ではないのでなんだが、まくらだけで三、四十分やったんじゃなかろうか。
イメージ 8実の子供の学校に呼ばれて一席落語をやる苦労とか、桃太郎の創作珍説とか、バカバカしい話をたくさんつなげてゆく。

その後、本題に入るのだが、今回の長いまくらの趣向、それはそれで面白いと思った。
なんならそのまま落語に進まずに、まくらだけで最後まで引っ張って、そこに適当にオチを付ければそれでそのまま「落語」として成立するんじゃないかと聞いていてそう思った。
一度、そういう路線も検討してほしいように思う。
けっこう面白かったんだから。

イメージ 9さて、その後の落語だが、桃太郎の話を軸に馬鹿なおとっつぁんの夜話を聞いている子供が、それに対して何故か理路整然と切り込んでゆく噺。
この噺、面白くて相当爆笑を取っていた。
で、面白いだけじゃなくて、ためにもなる噺。
桃太郎の伝説に儒教の有難い教えを絡めて一つ一つ説き起こしてゆくのだ、子供が。
思わず、笑いながら聞き入ってしまう。

前半はもう一席あった。
イメージ 10がいな女房にそそのかされ、安く土産を仕入れてそれで高いお返しを家主さんから引き出そうという噺。
がそこは落語の常で、その作戦を決行する亭主は間抜けの典型。
これも爆笑系の噺で、場内には客席からの笑い声がガンガン響いていた。

一之輔さんは、声も強いところではしっかりと出る。
若干、舌がもつれ気味のところはあったが、しかしそれも味になっている。
十五分の休憩後、後半へ。

イメージ 11後半は一席のみ。
碁敵の二人がある日、待ったなしの約束を決めて碁を打つ噺。
だけど、この二人打てば打つほど「待った」がしたくなって。
そして待ったを認めてもらうために、二人の過去の話なんかを色々と持ち出して互いに難癖をつけてゆく。
そして最後は大喧嘩をして別れるのだが。

親しき仲にも礼儀ありで、どうしても言ってはいけない話があると重々承知はしていても、いざ追い込まれるとそこら辺りの話をしたい心が疼きだしてしまう。
イメージ 12この辺りの人間の描き方が誠に巧みで、どうしようもない人情の機微がよく表現されている。

いかにも江戸落語らしい哀愁を湛えた笑いを、少な目のせりふと間と表情、身体や扇子の使い方一つで巧みに見せてゆく。
ほんと、「待ってました」、「たっぷり」という感じの口演。
この一席は語りの格調も高く、互いに罵り合いながらも実は信頼しあっている大人の男二人の人情がよく出ていたように思う。

イメージ 13
ここまで二時間。
一之輔さんの世界、落語の世界を存分に堪能できた中身の濃い時間でした。
噂通りの本物の芸。
しかと受け止めました。



筆者の安全運行を助けてくれた、他のドライバーの皆さんに感謝。
美味しい料理の「直島アートダイニングカネミツ」さんな感謝。
高松の商店街の皆さんに感謝。
最高の落語を聞かせてくれた、春風亭一之輔さんに感謝。
その落語鑑賞の段取りを取り仕切ってくれていたサンポートホールの皆さんに感謝。
並びに関係者の皆さんに感謝。


今日も最後まで読んでくれたあなたにありがとう。


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