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Channel: 文芸 多度津 弘濱書院
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ランチ&歌舞伎

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本日は歌舞伎観劇の御報告です。

イメージ 12018.7.22 日曜日。
今日は車でお出かけ。
まずは昼ご飯から。

今回、お伺いしたのは善通寺にある焼肉店、松坂。
本店ではなく国道通り沿いにある新店の方。
本業は焼肉屋なのだがランチメニューが充実している店で、そのランチメニューの中で一番のウリはオリーブ牛のハンバーグと言えるのだろうが、今日は変化球で若鶏のから揚げ付きカレーを注文してみることに。

イメージ 2この店にはよく来ているのだが、今回のカレーは初めて食べるメニュー。
ところでこの店のランチメニュー、焼肉屋なので焼肉メニューもあるのだが、それを除いても多分二十種類くらいあるのではないだろうか。
焼肉ランチも入れるとゆうに三十種は超えてくると思う。
まさに毎日来ても飽きないお店なのである。

そして何よりこの店の魅力は、パッと見でメニュー表だけ見るとランチにしては多少値段が高いことに目が行くにも関わらず、食べてみるとその疑問が納得に変わる点にある。
とにかく料理の質が高くて量も充実しており、何より仕事に嘘がない。

イメージ 3さて十分ほどするとお料理が運ばれてくる。
まずは一口。
まいうー。
今回のこのカレー、ホント美味かったなあ。
トロトロの牛スジがルーの中に煮込まれていて。
そして肝心のそのルーの味は甘すぎず辛すぎずの絶妙の味わい。
で、コクがある。

そして付け合せの鶏のから揚げも間違いのない味。
さすがは肉屋。
最高の昼食でした。

イメージ 4

さてその後は舞台をアイレックスに移して。
「松竹大歌舞伎、八代目中村芝翫襲名披露、四代目中村橋之助襲名披露、三代目中村福之助襲名披露、公演」。
丸亀市綾歌総合会館、アイレックス、十三時開場、十三時三十分開演。
全席指定前売りS席、7000円。
さて気になる筆者の席は、右側中央やや後ろの位置。
ここはそんなに大きな会場ではないので、かなりいい席だと言えると思う。

イメージ 5さて本題に入る前に筆者の中村芝翫さんへの思いについて。
以前、BSか何かのTVの時代劇でその劇の中心の筋である事件が一段落して、奉行所の同心の役をやってらっしゃったのかな、一杯やりながら仲間と語り合うシーンがあつた。
そこで見せてくれた芝翫さんの、ちょっとせっかちで、でも心は粋でさばさばと捌けた様子のいかにも江戸の男と言った風情がよく出ていた演技、それが何とも言えずカッコよくて、筆者はたちまち魅了されてしまったのを覚えている。

それで生意気なようではあるが、実際舞台で観るのならこういう人の芝居が見てみたいと強く思ったものである。
それで今回、丸亀に来るというので一も二もなく飛びついた次第。
そして今日は、江戸の人情話をやってくれるという。
いいじゃないですか、もう楽しみで楽しみで。
いやが応にも期待が高まる。

イメージ 6
「人情噺文七元結」、幕末から明治にかけて活躍した落語の大名人、三遊亭円朝の作による人情噺。
腕はいいのだが、酒と博打で身をやつした江戸の左官屋長兵衛。
それを見かねた一人娘が一計を案じ、なんと自らの身を吉原に売ることで、その身体と引き換えで得たお金で父の借金を返済してもらい、お父さん、おっかさんに末永く仲良く暮らしてほしいと懇願する。

そこで長兵衛に渡された金五十両。
ところがその金を持って家に帰る途中、有り金をなくして途方に暮れ身を投げようとしている商家の手代に遭遇する。
可愛い一人娘がその身体と引き換えに用意してくれた大切なお金。
が、目の前で今にも川に身を投げようとする手代を前にして、人の命は金では買えないとその大切な五十両を渡してしまう。

イメージ 7その主人公の左官職人に芝翫さん。
酒と博打に身をやつしてかつての栄光も今は昔の主人公を、とはいえそこは江戸の男、きっぷのいい情にもろくて粋でいなせなそんな男の魅力を余すところなく演じておられる。

がこの芝居それだけではなくて、脇を固める俳優陣の演技も素晴らしかった。
長兵衛の女房役のいかにも古女房らしい口跡と振る舞いの見事さ。
そして娘が身売りに行く吉原の女将の、ゆったりとした中にも酸いも甘いも噛み締めた風の独特のたたずまいの素晴らしさ。
さらに娘役の初々しさ、清々しさ。
そのどれもが強く印象に残った。

イメージ 8一時間二十分近くある芝居で、四回の場面転換があった。
非常に見応えのある中身の濃い芝居だった。
今回、改めて感じたのは落語と歌舞伎の相性の良さ。
江戸情緒のある独特の深いコクをたっぷりと楽しめる。
さらには、落語の噺らしく随所にくすぐりがあってまさに泣いて笑って楽しめる王道エンタメの雰囲気が濃厚にある点も評価のポイント。

その後、休憩があって、襲名披露の口上へと移る。
親子二代に渡って新しい名前を襲名する。
めでたいねえ。
さっと幕が開いたかと思うと舞台の上に横一線に並んだ役者さん達の姿形はまさに荘厳なまでにキレイ。
がんばれ、成駒屋。
でも息子さん二人はお父さんに声がそっくりだったな。

イメージ 9その後、再び休憩が入って最後の演目「棒しばり」。
御存知、狂言なんかでよくやる有名な演目。
それを歌舞伎で、今回襲名披露を済ませたばかりの若い二人が挑む。
太郎冠者と次郎冠者の役で。

太郎と次郎の二人が仕えている主。
その主が留守になるとこの二人その隙を盗んで酒を飲む悪癖が。
そこで一計を案じた主人が、言葉巧みに二人を騙して一人は棒に両手を縛りつけられ、もう一人は後ろ手に紐で縛られる。
これでもう大丈夫だろうと安心して外出する主。
しかしどうしても酒が飲みたい二人は。

イメージ 10色々と策を巡らせてまんまと酒にありつく二人。
圧巻は酒盛りが高潮に達したところで繰り広げられる舞いの数々。
両手を使えない状態で器用に踊る二人。
ここは演じる側としても最大の見せ場だろう。
きっと難しいんだろうなと見ていてもそう思う。
若い二人の演者はその両手を縛られた不自由にももろともせず、たたらを踏む音も凛々しく立派に舞台を務めあげてゆく。
あれだけ踊れたら、まずは合格点だろう。
今後のますますのご活躍を期待します。

イメージ 11ここまで、休憩込みで三時間。
久しぶりに歌舞伎を本腰入れて観た感と言うのが後に強く残った半日。
最高の日曜日になった。
ほんとうにありがとう。


最高の昼食を用意してくれた焼肉松坂さんに感謝。
至高のひとときを演出してくれた成駒屋さん一門並びに他の役者さん皆さんに感謝。
その芝居を私達に届けてくれた松竹さんと綾歌アイレックスさん、丸亀市の皆さんに感謝。
今日も最後まで読んでくれたあなたにありがとう。

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