先週の続きです、紀行。
ちょうど雨も上がってきたので、その後、お店を出て街をぶらぶら。
少し行く毎に一つ一つ、お店にひっかかりながらの寄り道の連続。
が、しかしそれもまた旅の楽しみの一つ。
気が付くと昼を過ぎている。
ので、ひがし茶屋街を出て近江町市場へと移動。
歩いて行って約十分とのこと。
昼御飯を求めて市場を散策。
京都の鴨川沿いの風景にそっくりなのだ。
これから行く近江町市場も京都の錦市場によく似ているし。
もちろん市場の規模はこちらの方が遥かに大きいのだが。
さっき出てきたひがし茶屋街も祇園にそっくりだったしな。
さて、市場に来たはいいのだが、事前に調べてなかったので、なかなか食べるところが決まらない。
結局入ったのが、市場から道路一本挟んだ商業ビルの地下にあるお店。
オムライスが売りの店らしい。
色々迷ったのだが金沢ハントンライスというのを注文。
オムライスの上に地元自慢の海鮮のフライがのっているそう。
旨そうだ。
十分ほどするとお料理が運ばれてくる。
オムライスの上に海老フライとまぐろカツ。
ソースも赤いのやら白いのやらいろいろな味が複雑に絡み合っている。
なんとも贅沢な昼御飯でした。
その後もう一度ひがし茶屋街へ戻ってから金沢駅へと帰る。
この日の午後に、金沢から長野松本へと移動するため。
金沢から長野駅までは北陸新幹線を使う。
十五時一分発のかがやき号。
シートはえんじ色を基調にグレーの模様があしらわれている。
室内はオフホワイトに荷物棚のベージュのラインが美しい。
シートは五列シートで前後はゆったりとしている。
十二両編成で全席指定とか。
スムーズな加速で滑らかな乗り心地。
途中、長野駅で新幹線から降りて特急に乗り換える。
が、その待ち時間が約五十分ほどあるので、一旦改札を出て長野駅でお茶をした。
ホットコーヒーとお茶請けのお菓子を。
お菓子は地元名産の「りんごの小径」。
このお菓子が美味しかった。
アップルパイにスポンジケーキの土台があってホワイトチョコで表面を覆っている。
と書いてしまうと何やら得体のしれないお菓子のように思うが、食べると非常に美味。
これは思わぬ収穫だった。
思わず自宅用のお土産に衝動買いしてしまったほど。
このしなのの座り心地がとてもいい。
筆者の体の大きさにぴったりなのだ。
前後の余裕もあって実にいい感じ。
室内は白を基調にグレーのシートで落ち着いた雰囲気。
しかしこの特急の走る信濃路、車窓の風景が実に美しい。
あまり人の手が加えられていない大きな川があるかと思えば、次は遥かに広がる雄大な山並み。
特に山は晴れて日に照らされている部分と曇っていて今にも雨が降り出しそうな部分の対比が何とも言えず美しい。
また、田園だけでなく平野に広がる家々の風景も遠くに見える山並みに映えて見応えがあった。
十七時五十分、松本着。
そのまま徒歩で今宵の宿へ。
リッチモンドホテル松本。
駅から歩いて五分ほどの好立地。
だからか、部屋も広々としていて清潔。
インターネットで予約したのだがすごい人気で喫煙ルームしか空いてなかったのが残念だったが。
ベッドはシモンズとかで、寝心地がとてもいいらしい。
チェックインの後、料金は先払いでなんと自動の機械で支払を済ませる。
機械を使うのは支払だけで、もちろん受付は人がやってくれるのだが。
色々回ったのだけど結局入ったのはホテルの並びにあるレストラン「夜噺」。
そばと日本酒を注文。
なんと日本酒は竹筒に入って出てくる。
席は個室風。
ほのかに暗くて心地いい空間を演出してくれている。
その他にも鶏の山賊焼きや玉子焼きなども注文した。
四人で分けて食べる。
いずれも美味。
そのお茶漬け、あおさが効いていて出汁が旨かった。
最後はそば。
鴨南。
鴨肉は癖がなく柔らかくて美味しい。
そばは細めで若干細切れになっていたのが残念だったが味はいい。
出汁は甘めで細いそばとよく合っている。
いやあなんともゆったりとした、感じのいい夕食でした。
そしてホテルに帰って、自慢のシモンズのベッドで熟睡したら。
朝八時半過ぎ、松本城。
しかし、この時点で天守入場は百分待ちとのこと。
どうしようかと思っていると入り口付近で整理券というのを配っている。
少し時間は遅くなるが、その整理券に書いてある時間に集合すると待たずに入れるらしい。
その間、城の入場券を持っていれば再入場も可能だそうで外で時間を潰すこともできる訳である。
それで配られている整理券を貰うことにした。
十一時集合の券だった。
しかしきれいなお城だなあ。
壁の黒がお堀の水に映る姿は得も言われぬ美しさ。
それにまたこの日は天気が良かったので、歩いているとホント気持ちいい。
しかし、知ってますか皆さん、松本市の標高って598mらしいですよ。
ちょっとした里山並の高さですな。
さて、天守入場までの待ち時間を使って、松本城から徒歩十分の開智学校を訪れた。
建てたのは当時の地元の腕のいい大工の棟梁らしい。
聞くところによるとこの時代の大工さんというのは、洋風建築の素養が全くないにも関わらず、実際に建てられた洋風建築を少し見ただけで図面も引かずに似たようなものをさっさと拵えてしまったそうで、昔の日本の大工の腕の良さが偲ばれる。
この建築もそんな感じ。
洋風の中に仄かに感ぜられる和のテイストが心地いい。
まだ教科書などなかった初期の頃には、掛図という大きな図面(教えたい知識の要点のみを書きだしてある)を用いて授業を行っていたそう。
その後、段々と国が教育に力を入れるようになって、国定の教科書が策定されたりして、教育は次第に高度に洗練されたものへと変化して行く。
また、学科のみならず道徳などの生活心得の教えの面白さもこの時代の教育には生きていて、見ていると微笑ましくなってくる。
さらには昔の生徒が描いた絵や書などの作品も展示されていた。
中には銭の取れるレベルの作品もあって面白かった。
十一時、天守入場。
ホント、待たずに入れました。
天守の中は階段の勾配がきつくて、ちょっとしたアスレチック気分。
なんでも松本城の階段の勾配は他の城に比べてそうとうきついらしく、角度にして五十五度から六十一度くらいあるらしい。
登っている感覚からすると垂直に見えるほど。
中には階段の一段一段の歩幅が広く取られたものもあって、皆でわいわい言いながら、その急勾配に挑む運命の瞬間を待っていたりするのである。
戦国時代に使われていた火縄銃。
そこに使われている火縄と鉄砲の弾。
これを作るのは松本では武家の女の人の仕事だったそうです。
火縄一つとっても編み方や素材によって火持ちの悪いのや良いのがあったりするそうで、けっこう奥の深い世界だったみたいです。
また天守内には要所要所に警備員さんが配置されていて、訪れた人の安全を守って下さっている。
その警備員さんの仕切りがしっかりしているので、私達は安心して上り下りできる。
ありがたいことである。
城を出たあとは、縄手通り、中町通りに移動して町を散策。
お昼には美味しいそばを食べたり。
その後、夕方まで時間を潰して、帰路に着いた。
松本から特急しなので名古屋まで出て、名古屋からは新幹線で岡山まで、岡山から特急で丸亀へ。
楽しかった旅もこれで終わり。
また一つ、楽しみが終わってしまったけど、また次の愉しみを見つけて日々の暮らしを頑張って行こう、ね。
優雅なひととき、金沢ひがし茶屋街の皆さんに感謝。
美味しい昼食、勝乃屋さんに感謝。
活気あふれる金沢近江町市場に感謝。
安全運行に務めてくれたJRの皆さんに感謝。
美味しいお菓子とコーヒー、長野駅のベックコーヒーさんに感謝。
最高の一夜、リッチモンドホテル松本さんに感謝。
旨いそばと酒、レストラン夜噺さんに感謝。
雄大なる名城、松本城並びに関係者の皆さんに感謝。
胸がきゅんとする甘酸っぱい学校思い出、開智学校に感謝。
金沢と松本の皆さんに感謝、感謝。
そして今日も最後まで読んでくれたあなたにありがとう。