本日は紀行です。
なお、この旅の模様は都合により今回と次回の二回に渡って掲載させて頂きます。
まずは丸亀駅から電車で出発。
六時四分発の特急で岡山まで出て、岡山からは新幹線で新大阪まで。
そして新大阪からは特急サンダーバードに乗り換えて金沢まで行く。
十一時二分、金沢着。
当日は朝四時半起きで出発に備える。
五時半に家を出る。
「車deトレイン」を使って駅前に車を停めてゆく。
がこの日の金沢、雨の予報が出ている。
ガーン、どうしましょうか。
さて無事に乗り継ぎを重ねての新大阪からの特急サンダーバード。
初めて乗る列車だが、なかなかの好印象。
白を基調とした外観はモダンでシャープ。
一方、中はと言えば、四列シートで四国の特急とよく似た感じ。
色は四国の特急とは違って青色のシート。
ただ、こっちの方がシートの丈が若干高いような気がする。
そして何より昔ながらの特急感が最高。
最近は在来線特急と言えば軒並み新幹線に押され気味だが、旅情という点においては、ガタゴト走る特急の方に分があるように思う。
列車は京都を追い越して、越前、昔の鯖街道を北上して行く。
味があります。
金沢に着いたら十一時。
まずは昼飯。
昼は金沢駅ビルの隣にあるビルの六階にある「もりもり寿し」で。
最初はそれを知らなくて、回る方の寿司しかないのだと思っていた。
しかし回る方のお寿司は人気が高くて、すでに二十組以上の待ちが出ている。
しょうがないのでトイレでも行こうと思って店の裏手の方に回ってみるとなんともう一店舗「もりもり寿し」があるではないか。
しかもこちらは待ち時間なしとのこと。
つまり、回らない方の寿司屋なのである。
メニューは何種類かあったのだけれど、筆者はおてごろセット(にぎり十貫)、1100円に味噌汁200円をつけたものを頼む。
まず、白えびのから揚げが最初に出てくる。
なにはともあれ一口。
ウマッ。
品のある旨さ、そしてその中にある適度な脂。
絶品です。
続いてのどぐろの刺身。
これがほんととろとろで噛む前から脂がにじみ出てくるような感じ。
さらにすごいのは、その強烈な脂にも関わらず口の中に残るしつこさが微塵もないこと。
これには家族一同皆びっくり。
まあ、値段分の価値のある一品でした。
最後は寿司。
ネタはどれも美味で、これが回らない寿司の品質なのかと感動させられた。
ねっとりとした濃厚な質感のものはねっとりと濃厚に、あっさりとしたものはあっさりと、しかしその中に一抹の充実感が込められている丁寧な仕事っぶり。
味噌汁はあさりの具が大きくて、薄味で出汁が効いた汁は贅沢感を醸し出していた。
全てにおいて回る寿司よりワンランク上の感じ。
本当にいい昼食でした。
バスを降りたところからいきなり風情が満開。
中に入る。
デカい。
相当デカい。
香川県にも栗林公園や万象園があるけれど、それよりも二回り三回りくらい大きい。
植えられている植物は大小様々で特に大きいのでは根の形が複雑で歴史と風土を感じさせてくれる。
それを変わらずに保存し、現在まで守ってきたというのは本当にすごいことだと思う。
御多分に漏れず、兼六園も明治の維新の時代には、旧体制の遺物として二束三文の価値となり荒れかけたそうだが、それを見かねた地元の有志が立ち上って庭園の維持に務めたそう。
いつの時代にも無名の偉い人がいるものである。
そのおかげで今もこうして庭園見物ができるのだから。
苔というのは栽培が難しいと思うのだが、ここにはそれが贅沢に取り揃えられてある。
しかし、緑に癒されるなあ。
しばしの散策に心洗われる思いでした。
その後、兼六園の隣にある金沢城を回って、二十一世紀美術館へ。
金沢城跡には新しく建てられた城があって目を楽しませてくれました。
ケーキとコーヒーを注文。
ケーキはフルーツたっぷりのロールケーキで生クリームとフルーツの相性が抜群。
珈琲は機械立てだろう、ちょっとカプチーノっぽい味がする。
概して美味。
それにしてもこの美術館、白を基調とした明るくてモダンな造りが目を引く、かなり洒落た建物である。
昔ながらの町並みが残る美しいところ。
そして何より水がきれいで豊富。
やっぱり武士はいいところを選んで住んでいたのだなと。
ゆったりと散策しながら、この界隈のハイライト、野村家の屋敷に入る。
この野村家屋敷、庭が高い評価を受けているそうでミシュランガイドの二つ星を獲得しているそう。
道理で外国人観光客が多いわけである。
この武家屋敷散策の辺りで、予報通りちょうど雨が降ってきたのだが、雨に濡れた武家屋敷は風情があってちょうどいい感じに思えた。
ここでは皆縁側に座ってゆったりとした時に身をゆだねながら静かな庭園鑑賞の愉しみを満喫するのである。
でも昔のお武家さんの美意識ってすごいなと改めて。
これ見よがしなところは微塵もないのに、じっくりと細部までよく見ないと分からない最高の素材と最高の仕事が施されたものがほんとになにげなあく飾られてあって。
本物の上質を知る本物の人のための空間がそこにある。
果たしてそれを見る私はそれにふさわしいだけの価値ある人間だろうか。
ふとそんなことが頭の中をよぎる。
でもそんな凡夫の逡巡さえ、心地よく受け入れてくれるだけの懐の深さもあって。
それが往時の支配階級たる武家の美意識なのだろう。
ホテル日航金沢。
駅から地下で直結している。
この日は雨だったのでこれはよかった。
なんせ駅から傘をささずにホテルまで行けるのである。
このホテル、立地の良さだけでなくサービスの質も高い。
荷物は全て係の者が部屋まで運んでくれるし、チェックイン時には部屋まで案内が付いてきてくれる。
ラグジュアリーホテル並みのサービスである。
ツインのベッドも広々としている。
洗面所も大きくて風呂も広い。
ああ、いいところに泊まれるんだなあ、今日は。
ロビーの造りも贅沢だし。
まことにありがたいことである。
さて、その後、一息入れてから夕食へ。
夕食は昼と同じ駅の隣にあるビル六階のお食事処で。
トンカツ屋「富金豚」。
しかし一日の終わりに呑むビールの旨いこと。
やっぱビールは、瓶や缶よりサーバーの生に限るな。
店で飲むとホントそう思います。
十分か十五分くらい待っただろうか。
お料理が運ばれてくる。
ヒレカツのガツンと来る旨さにメンチカツの肉汁たっぷりの食感と味わいが最高。
海老フライも大きくて食べごたえ十分。
それにしてもデカい海老。
豚肉は地元石川県の豚肉を使っているとか。
腹にガッツリ来るな。
最高の夕食でした。
その後はホテルに帰ってぐっすり寝て。
明けて翌日。
まずはひがし茶屋街から。
この日もバスの一日乗車券を買って行くことに。
バス停を降りて通りを一本横に入るとそこはもう別世界。
昔ながらの古い町並みが広がっている。
昨日の武家屋敷とは違ってこちらは町人主体の町屋の面白さ。
また古い建物をリノベーションして新しい店が入っているところも楽しい。
訪れている人の数も多いし。
石川県の漆工芸は黒の色が他の産地のそれと全く違う。
伝統工芸展などで見比べてみるとよく分かると思う。
見ていると吸い込まれそうになるような深みある澄んだ黒なのだ。
そんな値段的にはとても手を出せないような高級な工芸品を眺めながら、同じ店の二階の喫茶に入る。
お抹茶セットを注文。
「茶房 やなぎ庵」。
この大樋焼というのは独特の茶色、飴色が特徴らしくかなり有名なものらしい。
筆者はそういう焼き物がこの地にあるということを今回初めて知った。
付け合せのお菓子も美味しく、誠に贅沢なひとときとなった。
お茶を済ますとちょうど雨が上がっていた。
本日はここまでです。
来週の後半もお楽しみに。
安全運行に務めてくれたJRの皆さんに感謝。
美味しいお寿司を出してくれたもりもり寿しの皆さんに感謝。
ゆったりとした贅沢なひとときを演出してくれた兼六園と関係者の皆さんに感謝。
最高の美意識を堪能させてくれた武家屋敷と野村家屋敷、並びに関係者の皆さんに感謝。
腹にガツンと来る夕食を提供してくれた富金豚の皆さんに感謝。
ラグジュアリーな一夜を過ごさせてくれたホテル日航金沢の皆さんに感謝。
安全運行に務めてくれた北鉄バスの皆さんに感謝。
歴史ロマンを感じさせてくれるひがし茶屋街、並びにやなぎ庵の皆さんに感謝。
今日も最後まで読んでくれたあなたにありがとう。