今週も引き続き紀行です。
さて最後の演目は舞踊が二つ。
一つ目は紅の衣装と純白の衣装を着た女形二人が舞い踊る。
二人で蝶々を追いかけたり、獅子を操ったり。
しかし二人での舞いと言うのは中々に難しいものがあるようだ。
ぴたりと息を合わせなければならないシーンがあるかと思うと、今度はわざと微妙にずれたテンポになることがあったり。
立ち位置も縦にぴったりと重なったかと思うと、横に開いてみたりと。
とにかくバリエーションが豊富なのである。
でも見ている方は、そんなことは余り関係なく、ただ華やかで楽しい舞台である。
これが中々よかった。
途中から転換した舞台セットがまた秀逸で、まるで本当に吉原の中にいるかのよう。
その三人が手を変え品を変え、相手を変えながら踊り興じる。
とにかく難しいことは何も考えなくていい舞台。
ただひたすらに楽しい時間だけが過ぎてゆく。
特に奴の踊りが印象的だった。
ここまでやって、終わったのはちょうど夜の九時。
存分に歌舞伎の魅力を堪能した四時間半。
今宵の宿はホテルオークラ別館。
通常だとかなりの値段を取られるホテルだが、現在は本館が工事中ということで、謝恩ならびにお詫びの価格ということでかなり安く泊まれた。
ツイン素泊まりで一人あたり一万円くらいだったと思う。
あの名門ホテルにこの値段で泊まれることは滅多にないことだろう。
まずは部屋へ。
広い。
とにかく広い。
風呂も広々としているし。
しかし何より特筆すべきはやはりサービスの質であろう。
ロビーで職員とすれちがうと一歩下がって笑顔の挨拶。
エレベーターで職員と鉢合わせると目的の階までのボタンを押してくれ、さっと譲ってくれる。
ちょっとしたことだけれど、とにかく徹底されている。
夜はぐっすり寝てそして朝。
朝食はカフェダイニング「カメリア」で。
ブュッフェスタイルを。
一つ一つの料理の質がとても高い。
それにスタッフのサービスも堂に入っていて、つかず離れずの絶妙なもてなしを見せてくれる。
品数も豊富でジュース類も美味しい。
もちろん、〆のコーヒー紅茶も抜かりなし。
実に優雅な朝でした。
今日はそれから巣鴨に出かける。
新橋の駅までタクシーで。
それから山手線に乗り換えて。
巣鴨に着くと、駅前の道路の広さにびっくり。
ゲッ、けっこう都会じゃん。
何と言っても東京なのである。
そこからとげぬき地蔵を目指して散策。
途中から本格的な商店街となる。
ホント、昔ながらの商店街だ。
見ていて楽しい。
そしてとげぬき地蔵さん。
正式には高岩寺と言うらしい。
伝統ある古刹のよう。
その後、母と妹が赤い下着の店でお土産に赤い下着を買っていた。
マルジとか言ったか。
いやあ、でもホント面白い町だなあ。
何だか得も言われぬいい味わいが醸し出されているのである。
さて、駅前に戻って昼食。
和菓子屋さん、福島屋さんだったかな(うろ覚えでごめんなさい)が店の奥でやっている喫茶店に入る。
これが旨かった。
絶妙な酸味とコクがあって。
久々にホント旨いやつを食ったなという感じ。
そこに、サラダとスープと紅茶が付いて890円。
巣鴨、恐るべし。
その後は、赤坂の迎賓館の見学へ。
事前に観覧の申し込みをしてあったのだ。
迎賓館はJRの四ツ谷駅から歩いてすぐ。
それを済ますといよいよ中へ。
白を基調とした壁に金の装飾とシャンデリア。
そして真っ赤な床。
思わずため息がこぼれる。
また各部屋毎に微妙にインテリアの様式が変わっているところも見所の一つ。
が、一貫しているのはインテリアの様式は全部フランスの様式であるというところ。
ロココ調、ルイ十四世風、アンリ二世様式、アンピール様式。
詳しい人ならこれだけでも十分に楽しめるはず。
でもこれどこかで見たことあるなと思ったら、そうあのベルサイユ宮殿。
あそこで見たのとうり二つ。
他の部屋に目を転ずれば、大理石で作られたギリシア風柱とかが印象に残った。
そして何より、あそこにここにと天皇陛下が座られた椅子だとか、美智子皇后様が座られた場所とか、安倍総理がトランプ大統領と会談した場所など、随所に歴史の重みを感じられるのも魅力の一つなのである。
皆さんも是非一度機会があれば生でご覧になるといいと思う。
金に糸目をつけずに作られた本物の凄さに触れられるはず。
さて、楽しかった東京旅行もそろそろ自宅へ帰る時間となってきたようです。
三日目は早い時間でのフライトに備え、早々に羽田入り。
いやあ、でも楽しい三日間だったなあ。
大満足の旅でした。
安全運行に務めてくれたJRの皆さん、タクシー運転手の皆さんに感謝。
最高の舞台を堪能させてくれた歌舞伎座の皆さん、役者さん達、並びに関係者の皆さんに感謝。
至高の二夜を過ごさせてもらったホテルオークラの皆さんに感謝。
美味しい朝食に感謝。
独特の味わいに満ちた巣鴨の皆さんに感謝。
究極の美を惜しげもなく見せてくれた赤坂迎賓館並びに関係者の皆さんに感謝。
今日も最後まで読んでくれたあなたにありがとう。