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Channel: 文芸 多度津 弘濱書院
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コンサート 「室内楽の調べ」

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本日はコンサート評です。

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2017.10.1 日曜日 「室内楽の調べ プロムジカアンサンブル」 多度津町民会館、開場十三時半、開演十四時、全席自由前売り一般 2000円。
芸術の秋。
そんな日曜の午後、秋の陽気に誘われてコンサート鑑賞。
いいじゃないですか。

今回は室内楽とか。
ちなみにコンサートマスターの森末さんは琴平町出身で、セカンドバイオリンの高口さんは多度津町の出身とか。
他にもメンバーのプロフィールを見ると丸亀市出身の人がいたりだとか、高松市出身だとか、あと現在坂出高の先生をやっている人とかもいる。
また丸亀のオケで活躍している人、広島のオケの人など、地元香川を中心に中四国を拠点に活躍している人が集まってきているよう。
なんとなくローカル色が濃くて面白い。

イメージ 2午後一時半前、自転車で会場入り。
天気がよかったのでカメラを片手にぶらりと。
着くと、すでに長い行列ができている。
自由席だからね。
客席の入りは七割くらいか。

十四時定刻通り開始。
編成は十二人が基本のよう。
コントラバスが二人、チェロが二人、ビオラが二人、そしてバイオリンが六人。
そこに、あと曲によってピアノが付いたり、ソロのフルートが付いたり。

イメージ 3一曲目はシベリウス。
アンダンテ フェスティーボ。
筆者、不勉強のため、シベリウスはあまりこれまで聞いたことがなかった。
でも聞いてみると、まあなんとも言えず美しい曲ではないですか。
思わずうっとりとしてしまいました。

初めて聞く曲に初めて聞く楽団。
が、演奏水準はかなり高い。
まず音がきれいだし、音の高低、強弱の付け方も堂に入っている。
破綻がないのに平坦ではなく味わいと豊潤さのある演奏。
ああ、こういうのが聞きたかったんですよ。

イメージ 4曲の合間にはおしゃべりも。
そこで聞いた話なのだが、多度津町出身のセカンドバイオリンの高口さんのお父さんは地元多度津中学で音楽の指導者として鳴らした結構有名な先生だったそうである。
そして琴平町出身のコンサートマスターの森末さんのお父さんも多度津中学で国語の先生をしていたそう。

ということで、この二人のお父さんは仕事仲間として大変親密だったそうである。
その縁で子供だった森末さんは琴平から多度津までバイオリンを習いに来ていたという。

イメージ 5ちなみに現在まで続く多度津中学の応援歌は、この二人の先生による作詞作曲なのだそう。
筆者も多度津中学の出なのでこの話は面白く聞かせてもらった。
何ともローカルな話題で申し訳ないが、でも大変に興味深い。
世間って広いようで狭いものなのだなとも。

そのあと、華やかなグリークの演奏があって、バッハへと続く。
最近バッハに飢えていた筆者には有難い選曲。
管弦楽組曲第二番から三曲ほど。
この三曲では通常の編成に加えて、フルートのソロとピアノが付いていた。
フルートの美しい音色と低音弦の効き具合の塩梅が絶妙の演奏。

イメージ 6そのあと、せっかくのことなのでと、これで引っ込むはずだったフルート奏者を呼び戻して、フルートソロのアンコールを。
この曲で見せたフルートの技術がすごくて、地の音を鳴らしながらそこに上の音、強い音を被せてゆくという、一本の楽器から二つの音が同時に出るというすぐれものだった。
一体どうやって吹いているのか不思議に思った。

前半最後はモーツアルト二曲。
トルコ行進曲とアイネクライネナハトムジーク。
アイネクライネについては筆者はずっとこれはモーツアルトの若い頃の曲なのだとばかり思っていた。
でも、実際にはこの曲、モーツアルトの最晩年の曲なのだそう。
ただひたすらに明るく楽しい曲なので、この点が筆者には意外だった。
また一つ勉強になりました。
ありがとう。

十五分の休憩後、後半へと。

イメージ 7後半最初はヴィヴァルディから。
「四季」より春の章。

皆さん知ってましたか。
この曲の最初の旋律は春の訪れを喜び踊る農夫たちを描写したものだそうです。
そして続いて春を寿ぐ小鳥たちの鳴き声。
さらに訪れる急転直下は、春の天候の不安定さを象徴する稲妻と嵐。
で、最後は再び春を喜ぶ農夫たちの踊りへと帰って行く。

筆者はこの説明、初めて聞きました。
ヴィヴァルディの「四季、春」はこう聞くのだというのが初めて分かりました。
感激です。
演奏も素晴らしかったなあ。
要点を押さえた端正な語り口で。

イメージ 8続いてビゼーのオペラ「カルメン」からオリジナルの組曲を。
名品の旋律の美味しいところだけが抜粋されていて、次から次へと繰り出される秘宝の数々はまさに絶品。
いやあ、また本物のオペラが見たくなってきたなあ。
演奏の方もさっきのヴィヴァルディとはうって変って、オペラハウスのオケピットのような独特の粘り気のあるコクの強い演奏で。
存分に堪能させてもらいました。

その後は、一旦クラシックを離れて、イージーリスニング、映画音楽の世界へと。
ヘンリーマンシーニから二曲。
「小象の行進」と「ムーンリバー」。
それにしても小象の行進の華麗な技術と明暗のくっきりとした攻めっ気の強い演奏はどうだ。
でその後のムーンリバーのしっとりした趣の素晴らしさ。
押したり引いたり、まさに自由自在。

イメージ 9
そのあと、ジョンウィリアムズのレイダースマーチ、インディジョーンズの曲ですね、で盛り上がった後、最後は再びクラシックに返ってバルトークを。
強い音を出している時でも、どこか音に余裕と落ち着きがある。
これがこの楽団の特徴かと。
途中、素人参加の指揮者体験コーナーなんかもあったりして、豊かで楽しい時間はあっという間に過ぎてゆく。

アンコールは一曲。
リラックスしてすごくいい音が出ていましたよ。

たっぷりと秋の風情を楽しめた二時間弱。
今日は本当に来て良かったなあ。
またこんな素敵な出会いがあることを祈りつつ。


最高の音楽を聞かせてくれたプロムジカアンサンブルの皆さんに感謝。
その音楽を陰で支えてくれていた多度津町民会館の皆さんに感謝。
この演奏会に携わった関係者の皆さん、並びに町民の皆さんに感謝。
今日も最後まで読んでくれたあなたにありがとう。

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