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Channel: 文芸 多度津 弘濱書院
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落語 「桂米團治独演会」

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本日は落語鑑賞記です。

イメージ 1

2019.5.19 日曜日、旧金毘羅大芝居、金丸座、午前の部、十時半開場、十一時開演、S席一般前売り5000円、全席指定。
さて、毎年恒例の香川県朝日新聞会主催の桂米朝一門会。
今年もその季節がやってきた。
今年度は米團治さんの還暦、噺家生活四十周年記念ということで、いつもと趣向を変えて金毘羅金丸座での公演となる。
だからチケット料金も例年より高めだ。
そして午前と午後の二部制になっている。

イメージ 2チケットの申し込みは朝日新聞の配達所にて。
ありがたいことに今年もまたチケットをわざわざ家まで届けにきてくれた。
この場を借りて配達員さんにお礼を言いたいと思う。
ありがとうございます。
今回はさらにチケットを申し込むと米團治さんの還暦、四十周年記念ということで、なんと特製の風呂敷がプレゼントで付いてきていた。
何とも粋な計らいである。

イメージ 3琴平までは電車で行く。
九時五十分発の電車で十時六分に琴平に着く。
そこから歩いて金丸座まで。
今回は落語の時間がちょうど昼にかかるので、虫押さえにコンビニでおにぎりを一個買って行った。

しかしこの日は暑い日で、金丸座に向かう坂道ではうっすらと汗をかいた。
十時半過ぎ会場入り。
席がよく分からなかったのでスタッフの人に尋ねる。
とても親切な人達ばかりでありがたい。

イメージ 4席は一番前の右端の席。
花道の真横。
中に入ると涼しい。

さて、久しぶりに入る金丸座。
驚いたことに、なんと桟敷席にも低い椅子が置かれているではないか。
それだけではなく、その他の席にもすべて椅子が置かれている。
これがいい。
もともと、金丸座の桟敷席などはかなり狭くて座っていると長時間だとけっこうしんどい。
足の悪い人やお年寄りにもやさしい、いい配慮だと思った。

イメージ 5十一時、定刻通り開始。
寄席囃子はどうも生演奏のようだ。
粋だねえ。

と思っているとなんと花道から米團治師匠が登場。
そのまま高座に上がって冒頭のあいさつを。
なんだか華やいだ雰囲気。
師匠お得意の親の七光りネタなんかでひとしきり会場を沸かせたら、落語会の始まり、始まり。

イメージ 6トップバッターは、米團治師匠のお弟子さん、桂米輝さんから。
古道具を商うことに決めた男が、インチキの商品を言葉巧みに売り込もうと努力するが、なぜかさっぱり上手くいかないという噺。
落語独自の間抜けな主人公が、本人は真剣なのだがそれゆえにドジを踏んでそれで笑いを取るという趣向。
米輝さん、お弟子さんといっても噺はかなり上手。

続いて米團治さんの登場。
まくらで面白いネタが。
イメージ 7ある政治家が、やってきた米大統領に対して慣れない英語で挨拶することに。
まずハウアーユーと話しかける、すると相手はアイムファインサンキューと返してくるから、そこでもう一度こちらがミートゥーと言うと教わる。

ところがいざ本番となるとハウアーユーと言うところをフーアーユーと聞いてしまい、それを聞いた大統領が、これが日本のジョークなのかと思い、機転を利かせてアイムヒラリーズハズバンドと返す。
つまりクリントン大統領なのだ。
するとそれを聞いた我が日本の首相がミートゥーと返して。
会場は大爆笑である

イメージ 8それから本題の落語へと入る。
噺は芸事の稽古へ行く、暇を持て余した間抜けな男。
鳴り物入りの噺で、三味線の音が聞こえてくる粋な趣向。
そんな稽古場で踊りの女師匠を演ずるのだが、しかしこういう芸をやらせるとホントに上手いなあ、米團治さん。
本物の女師匠がそこにいるみたいだもの。
笑いと至芸に満ちた贅沢な時間。

前半最後は南光さん。
相撲を題材にした人情噺。
イメージ 9親孝行なのだが、相撲はとてつもなく弱いある力士。
その力士の母親が病気になりなにかと物入りに。
それを見かねた当時の大横綱が、一計を案じてその力士を助けることに。
つまり八百長の試合を組んで、結びの一番でその力士を勝たせることで祝儀をたっぷりとその力士に還元することを提案する。

粋な人情噺。
泣ける噺だがそこは上方の落語。
笑いの要素もふんだんに盛り込まれている。
南光さんはやっぱり上手いなあ、抜群の安定感である。

イメージ 10ここで中入り、十五分の休憩。

後半は二席、桂吉弥さんから。
大酒呑みの武骨な男が、五升の酒を飲めるかどうか大店の旦那と勝負する噺。
これどっかでいっぺん聞いたことのある噺だな。
小朝さんだったかな。

小朝さんの高座は口跡が完璧で凄みがあったが、今回の吉弥さんの噺も負けていない。
イメージ 11しかし吉弥さんの最近の高座はほんとに充実だなあ。
今回の噺でも酒を飲む時の所作が見事で、客席から見ていると扇子の向こうに本当に盃と酒が見えてくるよう。

またその酒を飲みながら、合間合間に挿まれる都都逸の粋な文句や笑いの小ネタが実に楽しい。
上方の落語には珍しい、所作の巧みさと間で勝負するじっくりとした噺の妙を堪能することができた。
まさに、たっぷりといった名演。

イメージ 12そしてトリは米團治師匠。
黒紋付きの羽織袴姿での登場。
ネタは代書屋。

代書屋を営む主の前に変わった客が次から次へと現れる。
この噺は先代の米團治師匠が作った噺だそう。
かなりの大ネタ。
その噺を米團治さんは、強音部での声の張り、さらには噺全体での上下の付け方で見せて行く。
間も完璧で素晴らしい。

イメージ 13会場からはコンスタントに笑い声が響いていた。
さすが。
いやあ、面白い噺でした。

さてそれでお開きと相成る訳だが、今回もとても面白い落語会でした。休憩も入れて二時間半。
目一杯楽しめた至福の時間でした。


安全運行に務めてくれたJRの皆さんに感謝。
チケットの手配、席の案内など円滑な会の運営に務めてくれた香川朝日会の皆さんに感謝。
金丸座さんに感謝。
最高のひとときを演出してくれた、桂米團治さん並びに米朝一門の皆さんに感謝。
その他、お世話になった琴平の皆さんに感謝。
今日も最後まで読んでくれたあなたにありがとう。


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