本日は落語鑑賞記です。
2019.3.21 木曜日 「三遊亭小遊三・春風亭昇太 二人会」、多度津町民会館、全席指定前売り一般3800円、開場十三時半、開演十四時。
言わずと知れた笑点メンバーのお二人。
昇太さんは司会者で独身キャラ。
小遊三さんは回答者で、最近ではアランドロン、古いところでは福山雅治、後は女湯や食い逃げのネタで鳴らしているお方。
筆者は以前、小遊三さんの落語は「シネマ落語」と言うので拝見させてもらったことがある。
マヌケな男が自分の下半身をそれとは知らずに丸出しにしたままで周囲の顰蹙を買うというネタで爆笑させてもらったのをよく覚えている。
一方、昇太さんの落語を聞くのは全く初めて。
今日はだから楽しみにしてきた。
時はあたかも彼岸の中日。
朝、墓参りを済ませて昼からは笑いに行く。
のどかな春のお楽しみだ。
十三時半前、会場入り。
今回は天気がよかったので自転車できた。
会場は駐車場がいっぱいで、会場前の道路は車の渋滞でごった返している。
そして入り口にはすでに大勢の人が。
中に入って席に着く。
席は真ん中前目の上席。
感謝、感謝。
開演五分前、場内に寄席囃子が流れる。
十四時開演。
まずは前座から。
昇太さんのお弟子さんだそう。
噺は転失記。
医者に「てんしき」はあるかと聞かれて意味が分からなくて困る和尚。
しかし知ったかぶりの悪い癖で素直に聞くことができない。
そこで弟子を使っててんしきの意味を探り出そうとする。
弟子はてんしきの意味を正確に掴むのだが、出来心から和尚には本当の意味を伝えず。
そこで生まれてくる「てんしき」を巡る意味の相違がもたらす笑いがこの噺の聞きどころ。
筆者は何度か聞いたことのある噺。
そしていよいよ昇太さん登場。
まず噺の最初にマクラの時間を長く取ってくれて、笑点の裏話や独身キャラのもたらす悲喜こもごもの笑い話を次から次へと繰り出してくれる。
色んな人から早く結婚しろと言われるらしい昇太さん。
このあたり、皆が聞きたがっている話を存分に披露してくれてまことに愉快である。
その後、夫婦を巡る小噺を。
これが秀逸で大笑いさせてもらった。
例えばこんな感じ。
「亭主を誘拐した、二千万出せ」 「とても出せません」 「じゃあ今すぐ亭主を家に帰すぞ」 「分かりました。すぐ払います」
あはは。
そんな小噺をいくつかやってくれる。
それから本題の落語へと。
こちらも夫婦をテーマにした噺。
弔いの挨拶に行くという間抜けな男。
しかしその弔い先の家では亭主が次から次へと死んでゆくという。
その原因は何かと考えたら、奥さんが美人過ぎることにあるんじゃないかという話に。
少し色っぽい理由で亭主が早死にするのだろうというのだが、それに全く気づかない間抜けな男。
まずその男の勘の悪さで一笑い。
そしてようやくそのことに気付く間抜けな男。
それで自分の家に帰って、話に聞いた美人妻との色っぽい風景を自分の嫁を相手に再現しようとするのだが。
現実はごつくて怖いカミさんが相手。
とても思い描いた風にはならず。
間抜けな男の妄想が頂点に達したところでオチ。
しかし、やっぱり上手いなあ、昇太さん。
要所要所できっちり笑いを取って行く。
ボケとツッコミの強さとそれを支える間の良さが最高でした。
十分の休憩後、後半へ。
後半は小遊三さん。
がその前に前座が一席。
小遊三さんのお弟子さんらしい。
名前は三遊亭遊里さん。
噺は「まんじゅうこわい」。
有名な噺だが筆者は初めて聞く。
この遊里さん、とにかく噺が上手い。
二つ目だそうだが、あれだけ喋れたらそれだけですでに及第点だろう。
ただ難点は上手すぎること。
とにかく噺が上手過ぎて、テンポが速すぎるので聞いていて若干疲れてくるような感じがあるのだ。
もっとダレ場と言うのか、噺の緩急、さらには余裕のある間合い、ゆったりとした喋りと言うものを体得すると味や円熟味というのが出てきて今よりもよくなるんじゃないかと思った。
そして小遊三さん登場。
マクラでは笑点の歴代司会者の話でまずは盛り上げてくれる。
黒紋付きの羽織袴姿のいでたちでいかにもトリを飾るにふさわしい。
噺は夜這いの話。
とある商家に美人の女中が来る。
ところがその商家、妙齢の男ばかりが暮らす所で、皆女っ気に飢えている若者ばかり。
そこへ美人の若い女性が住み込みで来たというのだから、一家挙げて上へ下への大騒ぎ。
全員がその女性を狙っているのである。
そこでのあれやこれやのやりとりでまず笑わせる。
そして女中さんが来てからの最初の夜。
むくつけき男達、まず大人しく寝るのにも一苦労。
なんせ皆興奮しているものだから中々寝付けない。
それでも夜中になるとさすがに起きているものも少なくなり。
最後は三人の男が夜中に寝床を抜け出して夜這いに向かうのだが、いずれも間抜けな結果に終わって。
しかし小遊三さんはこういう噺をやるとホントに上手いな。
噺全体に漂うそこはかとない余裕。
そして得意のスケベたらしそうな独特の表情と声音。
腹の底から笑わせて頂きました。
さて楽しかった時間もそろそろ終わりとなりますようで。
虚しく来て満ちて帰る。
充実の二時間でした。
最高の噺を聞かせてくれた小遊三さん、昇太さん、前座のお二人さんに感謝。
円滑な舞台進行と入場を司ってくれた多度津町民会館の皆さんに感謝。
今日も最後まで読んでくれたあなたにありがとう。